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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第2章 芽吹いた想い
「そういうもの?結婚て」
「どういう意味?」
「親同士、とか、食いっぱぐれない、とか。もちろん、それも大事なんだけど・・・・」

不安げに話す冬子を見て、美咲は「ああー、なるほどねー」と独り言のようにつぶやいた。

「冬子さぁ、自信ないんだ」
「え?」

美咲は枝豆を冬子の鼻先でぶらぶらさせて、チョンと鼻先を突付いた。

「悠が自分を好きかどうか、でしょ?」

冬子はしばらく停止して美咲のしたり顔を見つめた。

「だいたいわかったわ。あんたが悩んでることが。きっと悠がはっきり言ってないんだね。あんたのこと好きって」

美咲の言葉で、冬子は自分の中のもやもやした気持ちの正体を知った。

(そうか・・・・私、それがずっと気にかかってたんだ・・・・・・)

「言われてない・・・・・」

冬子はぽつりと呟いた。

「悠も馬鹿だね。冬子相手にさ、気持ちはっきり言わないで結婚押し切ろうなんて」
「好き・・・・なのかな。私のこと」

言葉にすると、不安な気持ちに輪郭が与えられ、冬子の気持ちは一気に沈んだ。

「好きじゃなきゃ、結婚しようなんて言わないでしょ。ふつー」
「悠は’自分と私が結婚することが、問題が起きることが少ないから調度良い’ぐらいにしか考えてないよ」
「結婚のメリットがたとえどんなにあったって、好きでもない女と結婚しないよ。戦国時代じゃあるまいし」

美咲はハハと笑ったが、冬子は笑えなかった。

1円まできっちりと勘定する悠。外面が良い分、家で素のまま横柄に振舞う悠。
そんな姿を知っていて、それに合わせられる冬子はラクな存在であることは確かだ。
今から他の誰かとそういう関係を築くのが面倒なだけ、と言われたほうがよっぽど納得できる。

「冬子がそんな風に悩んでるの、初めて見た」
「え?」

冬子はいつのまにかうつむいて考え事をしていたようで、美咲に言われてハッと顔を上げた。

「冬子ってさ、だいたいすぐになんでも自分の中で答え出せるタイプじゃん。良いことと悪いことの基準がはっきりしてるっていうか」

自分のことを客観的に分析したことはないが、こんなに悩むのが人生で初めてなのは同意見だった。

「好きなんだね、悠のこと」

冬子はドキリとして美咲と目を合わせた。

「・・・・・・」
「好きだから、悩んでるんでしょ?悠も自分のこと、本当に好きでいてくれてるのかなって」
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