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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第2章 芽吹いた想い
「おばさん、調子悪いの?」

悠がコートを着ながら冬子に尋ねた。

「え・・・・・えーと・・・・・」

冬子の返答で悠は全てを察したらしく、美咲をジロ・・・・と睨んだ。
美咲は何のことだというとぼけた笑顔で返した。

「・・・行くぞ」

そう言って悠はさっさと外へ出ていってしまった。
冬子はお金を払おうと慌てて財布を出したが、美咲が払っておくからまた今度でいいと言って、冬子を追い立てた。

皆口々にまたねーと言って手を振る。
冬子も手を振り返し、外へ出た。
悠はすでに遠くまで歩いている。冬子は走って悠の後を追いかけた。

悠の歩みはいつもよりずっと早かった。冬子を拒絶したその歩き方は、悠が怒っていることを表していた。

「悠、待って・・・・・!」

冬子は一生懸命走って悠の背中を追いかける。

一人で帰れるから、仕事に戻ってと言いたいのだが、距離が縮まらないのだ。
冬子のはぁはぁという息遣いだけが二人の間に響く。

悠は何を怒っているのだろう。
美咲にプロポーズの話をしたことに違いないが、それにしてもそこまで怒ることだろうかとも思う。

冬子は悠に追いつくのを諦めて歩き出した。家はもうすぐそこだった。

冬子が歩き出したのを察して、悠は振り向き、冬子のいる場所まで戻ると、手を取って再び歩き出した。

「悠、どうして怒ってるの?」
「・・・・・・」

見慣れた門が見える。わずかに門をずらして、悠は冬子の手を引いて中に入った。
悠は工場の横にある小さな用具置き場に冬子を連れていった。

鍵はかかっておらず、子供の頃はよくかくれんぼなどしてここに隠れたり、秘密基地にしたりして遊んだ場所だ。

「悠・・・・・?」
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