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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第4章 君の瞳に映る白い花
結局、悠が冬子の母にもちゃんと結婚の挨拶をしてからにしようと言って、マンションには一人で帰っていった。

週末に悠の実家で食事会を開くことになった。
悠が一人暮らしを始める前まではよく晩御飯に呼ばれたが、最近はほとんどなくなっていた。

悠の父と母は張り切って料理を用意してくれた。

すき焼きに大量の刺身に大量のサラダ、焼きガニに茶碗むし、小龍包にグラタン・・・・・。

「いやいや、張り切りすぎだろ・・・・・。こんなに食べられるかよ」

悠がテーブルの料理を見て呆然としている。

「こうして皆で集まるの久しぶりだし、もうすぐ冬子ちゃんのお誕生日だから張り切っちゃった!」

うれしそうにはしゃぐ昌子に、冬子の母の美代はしきりにお招きありがとうございますと頭を下げた。

「おばさん、ありがとう。ごめんなさい、こんなものしか持ってきてなくて・・・・・」

冬子は手土産のワインとデザートのイチゴを昌子に手渡した。

「あらあら、気をつかわなくていいのに。ありがとう。みんなでいただきましょう」

いつものように冬子と美代が並んで座り、その向かい側に忠と昌子が座った。
悠はいつも決まってなかったが、今日は冬子の隣に座った。

悠には俺が言うからお前は黙っとけと言われている。悠がどうやって母たちに結婚のことを切り出すのか冬子はドキドキしていた。

食事が始まり、悠は緊張した様子などみじんも見せず、どんどん料理を食べた。
冬子は落ち着かない気持ちで昌子にすすめられるがまま食べるのだが、どうも集中できない。

酒ばかりに手が伸びる。

「今日集まってもらったのは、報告したいことがあるからです」

食事がひと段落した頃、悠が切り出した。

忠と昌子は何のことだと二人目を合わせた。

「冬子と結婚することに決めました」

冬子は皆の反応が怖くてぎゅ、と目を瞑った。

「は・・・・・・」
「え・・・・・・」

忠と昌子は目を丸くして時が止まったかのように動きを止めた。

悠は美代に体を向けた。目に力がこもっている。

「おばさん、冬子と結婚させてください」

そう言うと頭を下げた。

美代は優しい眼差しで二人を見つめると、ゆっくり頭を下げた。

「ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします」
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