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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第4章 君の瞳に映る白い花
恋愛感情はおそらく冬子の胸の奥にずっとあった。それを一番奥に押し込めて蓋をして気づかないふりをしていた。
悠も同じだったのだろうか。
尋ねたい気持ちが猛烈な眠気に負けて口を開くことが出来なかった。
「なあ・・・・・去年の今頃、うちの母親がポストカード作るからって言い出して山茶花の花の写真撮ったの覚えてるか?」
冬子は眠りに落ちそうな頭の片隅でなんとか思い出そうとした。
「あったね・・・・・私だとうまく撮れなくて、悠が・・・・・・」
「あの時に、冬子の目に山茶花の花が映ってて」
「うん・・・・・・」
「急に思い出したんだ。子供の頃、かくれんぼしててさ。山茶花の木の裏に隠れてたら、冬子がやってきて。そしたら冬子の目の中に・・・・・」
「悠・・・・・・ごめん・・・・・・すごく眠くて・・・・・・また起きたら・・・・・」
冬子は囁くように言うと、ス・・・・と寝入ってしまった。
悠は眠ってしまった冬子の手の甲を指で撫でながら、子供の時作った詩のことを思い出していた。
そんなもの作ったこともすっかり忘れていた。作文や絵でも散々賞をもらった。多くの中の一つに過ぎなかった作品だ。
去年、母に頼まれて山茶花の花の写真を綺麗に撮ろうと、冬子と二人で顔を寄せて試行錯誤していた時に冬子の瞳に映った山茶花を見て、急にその詩を思い出したのだった。
(まあ、きっかけがそれだったってだけで・・・・・・)
自分の脇の下で寝息を立てて寝ている冬子が愛しく、胸に温かいものが広がる。
悠は冬子の肩をぎゅっと抱きしめると、目を瞑って呟いた。
『ネコの目の中の白い花』
ぼくがかくれんぼをしていると
一匹の白いネコがやってきて
ぼくの顔をじっと見た
ぼくもネコの顔をじっと見た
ぼくはサザンカの木の後ろにかくれたから
ネコの目の中に白いサザンカの花が見えて
いつもは気にしないで通りすぎる白い花が
ネコの目に映るとずっとずっときれいに見えて
もっと近くで見ようと思ったけど
鬼が来てネコは逃げてしまった
他の物もネコの目を通したらきれいに見えるのかなって
ぼくはネコを追いかけた
悠も同じだったのだろうか。
尋ねたい気持ちが猛烈な眠気に負けて口を開くことが出来なかった。
「なあ・・・・・去年の今頃、うちの母親がポストカード作るからって言い出して山茶花の花の写真撮ったの覚えてるか?」
冬子は眠りに落ちそうな頭の片隅でなんとか思い出そうとした。
「あったね・・・・・私だとうまく撮れなくて、悠が・・・・・・」
「あの時に、冬子の目に山茶花の花が映ってて」
「うん・・・・・・」
「急に思い出したんだ。子供の頃、かくれんぼしててさ。山茶花の木の裏に隠れてたら、冬子がやってきて。そしたら冬子の目の中に・・・・・」
「悠・・・・・・ごめん・・・・・・すごく眠くて・・・・・・また起きたら・・・・・」
冬子は囁くように言うと、ス・・・・と寝入ってしまった。
悠は眠ってしまった冬子の手の甲を指で撫でながら、子供の時作った詩のことを思い出していた。
そんなもの作ったこともすっかり忘れていた。作文や絵でも散々賞をもらった。多くの中の一つに過ぎなかった作品だ。
去年、母に頼まれて山茶花の花の写真を綺麗に撮ろうと、冬子と二人で顔を寄せて試行錯誤していた時に冬子の瞳に映った山茶花を見て、急にその詩を思い出したのだった。
(まあ、きっかけがそれだったってだけで・・・・・・)
自分の脇の下で寝息を立てて寝ている冬子が愛しく、胸に温かいものが広がる。
悠は冬子の肩をぎゅっと抱きしめると、目を瞑って呟いた。
『ネコの目の中の白い花』
ぼくがかくれんぼをしていると
一匹の白いネコがやってきて
ぼくの顔をじっと見た
ぼくもネコの顔をじっと見た
ぼくはサザンカの木の後ろにかくれたから
ネコの目の中に白いサザンカの花が見えて
いつもは気にしないで通りすぎる白い花が
ネコの目に映るとずっとずっときれいに見えて
もっと近くで見ようと思ったけど
鬼が来てネコは逃げてしまった
他の物もネコの目を通したらきれいに見えるのかなって
ぼくはネコを追いかけた