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月夜の迷子たち
第8章 物語の続き
紗奈は極度の貧血と脱水状態だった。
耕太は香織の出産が無事終わるのを見届けて、病院まで来てくれた。
「おまえ・・・・・・相談しろよ。一応父親なんだから・・・・・」
耕太は寂しそうに見えた。そんなに俺は頼りないかと言いたげだった。
「ごめん・・・・・」
「あの女、やっぱり連絡してきたな。いつか絶対やってくると思ってた。その時は俺がきっちり撃退するって決めてたのに・・・・・・守ってやれなくてごめんな」
耕太の優しさが胸に染み渡った。
紗奈は泣かないように潤んだ目をしばたたかせた。
「ううん。耕太くんには、もう今まで十分守ってもらったよ。これからは赤ちゃんと香織ちゃん、しっかり守っていってね」
耕太は赤ちゃんと言われて表情を崩した。
「見てくれよ~。俺に似ないで、すげえ可愛いんだ!」
そう言って電話を取りだして写真を見せる。
香織の腕に抱かれて眠っている小さな天使が写っていた。
「かわいい・・・・・・・」
信じられないくらい小さい手をぎゅ・・・・と握って眠っている。
あまりに儚げなのに、しっかり命を感じた。
香織の幸せそうな表情を見て、紗奈も幸せだった。
いつかこの二人に子供が出来たら複雑な気持ちになるんじゃないかと思った時期もあった。
二人の笑顔を見て、素直に祝福できた。
「私の妹になるのね。嬉しい・・・・・。早く抱っこしたいなぁ」
「名前、香織が決めたんだぞ。知紗っていうんだ。紗奈の紗をもらったって。お前みたいな優しくて強い子になって欲しいって」
「知紗・・・・・・」
香織の愛情を感じて、紗奈は耐え切れずに涙を流した。
「・・・・・知紗ちゃんに恥ずかしくないような生き方しないとだね」
「何言ってんだよ。お前は今までだって、誰にも恥じない生き方してきたじゃないか。俺の自慢の娘だよ」
耕太が紗奈の頭を優しく撫でた。
耕太に引き取ってもらった当初はこうしていつも安心させてくれた。
いつからか、早く自立しなくてはという気持ちを持つようになって甘えなくなった。
そんな凝り固まった意地も、今はもうなくなった。
「ありがとう・・・・・・お父さん」
二人で照れながら笑った。
耕太は香織の出産が無事終わるのを見届けて、病院まで来てくれた。
「おまえ・・・・・・相談しろよ。一応父親なんだから・・・・・」
耕太は寂しそうに見えた。そんなに俺は頼りないかと言いたげだった。
「ごめん・・・・・」
「あの女、やっぱり連絡してきたな。いつか絶対やってくると思ってた。その時は俺がきっちり撃退するって決めてたのに・・・・・・守ってやれなくてごめんな」
耕太の優しさが胸に染み渡った。
紗奈は泣かないように潤んだ目をしばたたかせた。
「ううん。耕太くんには、もう今まで十分守ってもらったよ。これからは赤ちゃんと香織ちゃん、しっかり守っていってね」
耕太は赤ちゃんと言われて表情を崩した。
「見てくれよ~。俺に似ないで、すげえ可愛いんだ!」
そう言って電話を取りだして写真を見せる。
香織の腕に抱かれて眠っている小さな天使が写っていた。
「かわいい・・・・・・・」
信じられないくらい小さい手をぎゅ・・・・と握って眠っている。
あまりに儚げなのに、しっかり命を感じた。
香織の幸せそうな表情を見て、紗奈も幸せだった。
いつかこの二人に子供が出来たら複雑な気持ちになるんじゃないかと思った時期もあった。
二人の笑顔を見て、素直に祝福できた。
「私の妹になるのね。嬉しい・・・・・。早く抱っこしたいなぁ」
「名前、香織が決めたんだぞ。知紗っていうんだ。紗奈の紗をもらったって。お前みたいな優しくて強い子になって欲しいって」
「知紗・・・・・・」
香織の愛情を感じて、紗奈は耐え切れずに涙を流した。
「・・・・・知紗ちゃんに恥ずかしくないような生き方しないとだね」
「何言ってんだよ。お前は今までだって、誰にも恥じない生き方してきたじゃないか。俺の自慢の娘だよ」
耕太が紗奈の頭を優しく撫でた。
耕太に引き取ってもらった当初はこうしていつも安心させてくれた。
いつからか、早く自立しなくてはという気持ちを持つようになって甘えなくなった。
そんな凝り固まった意地も、今はもうなくなった。
「ありがとう・・・・・・お父さん」
二人で照れながら笑った。