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月夜の迷子たち
第10章 抗う心
レイアは和子たちとの毎週恒例のお茶会が終わると、中園の家をうろついた。社交的なレイアは使用人を含め、中園の家の人々とすっかり仲良くなっていた。

これから友子のお見舞いに行くのだが、友子への手土産に本を借りるか庭のバラをもらうか、お茶会の残りのクッキーをもらうか・・・・。うん、全部にしよう。

バラを数本もらってから、図書室へと向かう。渡り廊下を歩いていると向こう側から俊が電話をしながら歩いてきた。

(相変わらず忙しそうねえ)

週に4日しかバイトをしていないレイアと違って俊はいつも忙しそうだ。
会うたびに暇人と言われるので電話をしてくれていて好都合だった。

レイアは俊が気づかないと思ってあっかんべーをした。

その瞬間に俊と目が合う。思わず固まってあかんべーをしたまま視線を反らす。

俊は立ち止まって電話を切った。

「・・・・・おい、なんのつもりだ」

レイアは俊の言葉を無視して通り過ぎた。
手に持っていたバラを見てレイアの肩を掴んだ。

「またか。君は何の権限があってこの家のバラを持って帰る?」
「権限て?庭師のおじさんがくれるんだからいいでしょ?」
「君を客人だと思ってるからだ。もういい加減この家に甘えるのはやめろ。見舞いの花くらい自分で買うんだ」
「うるさいなぁ。あなたこそ私に文句をいう権限があるの?」

レイアは鬱陶しくなって足早に歩きだしたが、俊は後を追ってきた。
まるで学校の教師のようだ。

「俺は仕事をしてこの家に貢献している。この家の利益のために働くのが俺の仕事だ。君は貢献するどころかただひたすら消費しているだけだ。それじゃただのたかりだと言われても文句はいえないぞ」
「ビジネスのお付き合いじゃないもん。和子さんのお友達だもん。それにお花だってどうせ捨てちゃう分しかもらってないし、お菓子だって残ったら捨てるっていうからもらってるのよ。本だって、この家の図書室なんて誰も使ってないじゃない。読まないで何のために置いてあるのよ」

レイアは精一杯反論した。たかりだと言われては気分が良くない。

「そういうことを言ってるんじゃない。一方的に与えられているだけの関係なんて、何か問題が起こったら真っ先に淘汰されるんだ。和子様だけでなく、この家の人間と上手く付き合っていきたいと思ってるなら君だって誠意を見せなきゃいけない」
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