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月夜の迷子たち
第13章 暗闇を照らす光
こんな風に達した後に頭がぼんやりすることなんか今まで一度も無かった。
俊はセックスの本当の気持ち良さを初めて知った。

「俊・・・・・・かわいい・・・・・・・・」

レイアが俊の頭を抱えて優しく撫でる。
レイアの腕に包まれて、俊はこれ以上ないほど安心感を感じていた。
レイアが俊の瞼や頬にキスする。愛情のこもった優しいキスだった。
味わったことのない幸福感に包まれて、俊は心の奥から湧き出てくる感情をそのまま口にした。

「レイア・・・・・・愛してる・・・・・・・」
「俊・・・・・・・・」

俊はまだ快楽の余韻が残る身体をのっそりと動かしてレイアを抱きしめた。

「君のそばにずっとずっと・・・・・・居させてほしい・・・・・・」

レイアは俊の頬に手を当てると指で優しく愛撫するように撫でた。

「それは・・・・・・つまり?」

目をうっすら開くと、意地悪っぽい少女のような瞳が間近に見えた。
結婚してほしい、と言いたいのだが、俊は一瞬迷った。
こんな、セックスの後に勢いのように言ってしまっていいのだろうか。
第一、指輪がない。

「その・・・・・・。指輪がないから、また今度改めて言う。大事なことだから」

俊はいたって本気で言ったのだが、レイアはプー!と噴き出して笑った。

「・・・・・・・なんだよ」
「もう!雰囲気ぶち壊さないでよ~。今のは普通にプロポーズするとこだよぉ」

レイアはケラケラ笑っている。

(そうか・・・・・・。そうだったか。失敗した・・・・・・・)

俊の真面目さが、今回は不正解を導いてしまったようだ。

それならば・・・・・・と、俊が改めてプロポーズしようとすると、レイアの指先が唇に触れて制止された。

「また今度、改めてして。指輪と腰が砕けそうな愛の言葉も用意して。大事なことだもんね」

レイアはさっきよりずっと小悪魔的に笑った。

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