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月夜の迷子たち
第3章 閉じられた扉
一週間ほどは毎日紗奈のもとに通っていた祐哉だったが、本格的に仕事に復帰してから時間がないらしく姿を見せなくなった。4日ほど会っていない。

紗奈の集中の仕方に最初こそ皆驚いていたが、次第に慣れ、邪魔をする者はおらず紗奈は集中して絵を描くことが出来た。

集中が途切れ、時間を見ると夕方の4時だった。
結局昨日はお風呂にも入らずに描き続けてしまった。
紗奈はシャワーを浴びようと、着替えとタオルを持って屋敷の方へ向かった。

小道を歩いていると、女性たちの笑い声が聞こえてきた。庭に設置されたテーブルの上には、ケーキにスコーン、サンドウィッチ、それから紅茶のセットが並べられ、10人ほどの女性たちと一人の若い男性…祐哉の兄の征哉が談笑していた。
まるで絵画のような世界がそこにあった。

征哉はこの家の長男で、重要な仕事をいくつも抱えていると聞いたが、全く仕事をしているように見えなかった。
午前中は出社しているようだったが、午後になるとこうしてみんなとおしゃべりしていたり、乗馬に出かけたり、昼寝やチェスをしたりと、遊んでいるところを良く目にする。

「紗奈ちゃん!」

屋敷に入ろうとしたところで声をかけられた。

かけよってきた征哉はテニスウェアを着ている。征哉の引き締まった身体に良く似合う、ブルーと白のウェアだった。秋の柔らかな日差しを浴びて、爽やかな笑顔は一層輝いて見えた。

(それにしても・・・・この人はいつ働いているのだろう?)

「お疲れさん。どう?一緒にお茶しない?」

紗奈はテーブルに座っている、貴婦人のような、おそらく50代60代の女性たちを見て、いいえ!と慌てて断った。

「征哉さん、お仕事は?なんかいつも遊んでるようにしか見えないのですが・・・・」

紗奈は正直に思ったことを口にした。征哉はちょくちょく紗奈のアトリエにも遊びにくるから、紗奈もすっかり打ち解けていた。

「いやだなぁ。僕は朝6時出勤の昼退社の男なの!それに彼女たちとお茶をするのも立派な仕事なんだよ?」

その時、テーブルの一番端にいた一人の女性が立ち上がった。

「・・・・紗奈っち?」

紗奈は、ハッとして女性を見つめた。
自分のことを紗奈っちなどと呼ぶ人を一人しか知らない。

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