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月夜の迷子たち
第3章 閉じられた扉
「瑠花さんは祐哉の婚約者ではありません。瑠花さんの父親と祐哉の父親が二人の結婚を望んでいるのは確かですが。しかし今の時点では単なる双方の願望に留まっており、具体的な話になっているわけではありません。ですから、今の状況で瑠花さんがあなたにこの家から出ていけといえる権限はありません。依頼人の祐哉がこの家での作業を望んでいる限り、いてもらって構わないのです。どうぞお気になさらずお仕事を続けてください」

俊の事務的な物言いに紗奈は少し落ち着きを取り戻していた。

「そうですか・・・・・・」
「ですが」

俊の口調がより一層厳しくなって紗奈はドキリとした。

「瑠花さんとの結婚に障害がないのも確かです。家柄に問題なし、双方の両親の関係も良好です。結婚とは異なる家同士の繋がりですから、本人たちの気持ちよりもそれらが優先される場合があります。特に中園のような家にとっては」

(本人たちの気持ちよりも・・・・・・)

俊は紗奈がいまいち理解できていないと察知したのか畳み掛けるように言った。

「結婚前にどんな相手と恋愛しようとも、結婚後も家庭を維持できるなら外部に恋愛相手を・・・・・はっきり言えば愛人を持つことも当人の自由です。時代錯誤と思われるかもしれませんが、結果的にそれが一番平和的なのです。双方のレベルが同じ家同士であることが」

紗奈は俊の顔を見上げた。俊の目が訴えていた。

ただの恋愛であればどうぞ思う存分楽しんでください。しかし、結婚は別です。本気になって辛くなるのはあなたではないですか、と。

「・・・・・・・・」

紗奈の祐哉に対して開きかかっていた心の扉が、パタン・・・・・と閉じた。

俊は本心では自分がここにいることを快く思っていないのだった。
多分それは紗奈という人物が気に入らないということではなく、紗奈がこの家にふさわしくない出自の人間だという理由で。

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