この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
月夜の迷子たち
第4章 月下の迷子の手
人に嫌われたり、拒絶されたりすることが極端に怖いのだ。
それならば、いっそ自分から離れていってしまえばいい。
そうすれば傷つくことはないのだから・・・・。

「ごめんなさい・・・・私、自分のことばかりで・・・・・。自分は傷つきたくないくせに・・・・あなたを傷つけた・・・・・」

祐哉は紗奈の頭にキスした。

「言っただろ?俺の方が何倍も強く君を想ってるって」

紗奈は頭を激しく振った。

「違う・・・・!私の場合は・・・・すごく歪んでるの。好きって言われても疑ってしまうし、試すようなことをしてしまう・・・・。そのくせ、相手の愛情は底なしに求めて・・・・。

私はあなたが思ってるような立派な人間じゃない。嫉妬深くて醜くて・・・・・本当の私を知ったらきっと嫌いになるに決まってる・・・・・!」

紗奈は耕太と香織と暮らしている時に、この葛藤と常に戦っていた。
二人も辛かったと思う。相手の愛情を確かめるために突き放してみたり、急に不安がって愛情を求めたり・・・・・。
それが二人から離れた一番の理由だった。

こんな自分が嫌だった。でも、自分でもどうしようもない。
自分の歪んだ想いは相手に負担をかけてしまう。
そんなことになるくらいならと、愛情を求めるという感情に蓋をして生きてきた。

祐哉は腕の力を緩めて、紗奈を解放すると、涙でぐちゃぐちゃになった顔をハンカチで優しく拭いた。

「いくらでも疑ってくれていい。その度に君が好きだと伝える。いくらでも試してくれていいし、いつでも求めてくれていい。君自身が嫌悪しているその感情を僕にぶつけてくれてかまわない」

紗奈は涙が残る潤んだ瞳で祐哉を見上げた。

「どうか、君が心から俺を信じることができるようになるまで、側にいるチャンスを与えてほしい。どんなに時間がかかろうとも、諦めない」

なんて温かくて優しい言葉だろう。
こんな自分の全てを受け入れてくれようとしている・・・・。

「君に会えない間、辛くて苦しくて胸が押し潰されそうだった。こんなに狂おしいほど誰かを好きになったことはない。俺だって君と一緒だ。君が思ってるような立派な人間じゃないよ。嫉妬深くて醜くて、本当の俺を知ったらきっと嫌いになるに決まってる」

先ほど紗奈が言った言葉をそのまま引用して祐哉が言った。

クス・・・・・・と笑みがこぼれる。
/290ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ