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月夜の迷子たち
第7章 忍び寄る闇
「・・・・・・次の時は最後までしたい。いい?」

祐哉の苦しげな囁きに、紗奈は無言で頷いた。
欲望を我慢することは相当大変なはずだ。
紗奈の身体が祐哉を受け入れられるようになるまで時間をかけてほぐしてくれた。

自分ばかり気持ちよくて祐哉に申し訳なくなる。

「今・・・・・・する?」

紗奈の遠慮がちな誘いに祐哉は苦笑して首を振った。

「いや・・・・・今日はもう遅いし、ゴムも持ってきてないし、また今度にしよう」

祐哉は明日からロサンゼルスに行くのだ。友人の結婚式に参列するためだ。
4日ほど帰ってこない。明日は朝の早い便で出発すると言っていた。

(ゴム・・・・・コンドームのことか・・・・・)

紗奈は考えもなしに誘ったことに赤面した。
祐哉に任せっぱなしで申し訳なくなる。

「ごめんなさい・・・・・私・・・・・・・。いつも祐哉さんにしてもらってばかりで・・・・・・」
「君にとっては初めてのことなのに、急いで嫌になってもらいたくない。でも、次はもう待たないよ」
「はい・・・・・・・」

ちゅ、ちゅとキスをして微笑み合う。

「絵・・・・・・完成しそうだって聞いた」

絵のことを言われて、紗奈はドキリとした。

「うん・・・・・・。あとは仕上げだけなの」

絵を描き終ればここを出なくてはいけない。紗奈は祐哉との関係を今後どうしていけばいいのかはっきりとわからないでいた。長瀞に帰ったら、今のようにしょっちゅう会うことは不可能だ。

「ロスから帰ってきたら・・・・・・挨拶に行きたいんだ。君の叔父さん・・・・・いや、お父さんに」
「挨拶?」
「君にずっとこの家にいてほしい。あの家に君一人で暮らすなんて俺が耐えられない。心配で心配で・・・・」
「でも・・・・・・・」

契約が終わればこの家にいる理由がない。紗奈は自分は長瀞に帰って、たまに祐哉に会えたらいいなと考えていただけに、ここにいて欲しいと言われて戸惑った。

「君は俺と離れても平気なの?」
「平気じゃないけど・・・・・・。たまに会えたらそれで・・・・・・・」
「俺は・・・・・そんなの嫌だ。君のいない生活なんて考えられない」

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