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月夜の迷子たち
第7章 忍び寄る闇
祐哉は優しそうで落ち着いているように見えて、こうやって駄々をこねることがある。
弟とはこういうものなのか、ただ単に祐哉の性格なのか・・・・・。

「とりあえず、帰ってきたらもう一度話をしよう。俺がいない間にどっかに行かないでくれよ」
「うん・・・・・・」

紗奈の中の迷いを祐哉は見逃さなかった。

「必ず待ってるって、約束して」

ほんとに子供みたいだ。紗奈はクスクス笑って頷いた。

「わかったわ。待ってる」

祐哉はホッと小さくため息をついて紗奈の頬にキスした。

「本当は君をロスに連れていきたい。そして一日中ベッドで過ごしたい」
「お友達に、何しに来たんだって言われちゃうわ」
「いいんだよ。そいつは俺に会いに日本に来たのに、結局女の子とばっかり遊んで一度も顔を見せずに帰ったんだ」

紗奈は、まあ・・・・・と言って笑った。

「仕返しの道具に私を使うの?」
「違うよ。本当の愛を見せつけてやるんだ」
「これから結婚するという人に見せつけるの?」
「そうだよ。間違いなく、あいつが花嫁を愛する気持ちより、俺が君を愛する気持ちの方がずっとずっと強い」

祐哉はそう言うと再び紗奈の下腹部へと手を伸ばした。

「ま、待って・・・・・・!明日早いんじゃ・・・・・・」
「飛行機で寝るよ」
「あ・・・・・・・っ」

紗奈は再び祐哉の手に翻弄されることになる。

いつまでも続いて欲しいと思う、甘い夜だった。

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