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私の欠けているところ
第1章 『再会』から


矢部先輩の情報によると
深海さんの名前は『深海時』
歳は35才

かなり年上だ

勝手に30歳くらいだと
想像していた俺は
そんなに年上なら恋愛対象としては
正直「ないな」と思ってしまったくらいだった


その他に興味深かったのは
深海さんが派遣社員だったってことだ

深海さんは
高卒で派遣社員として働くようになり
それから3年間契約を更新したのち
直接アルバイトで雇用され
その後珍しく本採用をされたらしい

努力家で仕事ができる人だと
矢部さんも話していた


その話を聞いた時
深海さんが年上で仕事ができるとか
そんなことを聞けば聞くほど
俺と深海さんは
不釣り合いに思えてきて
もうこれ以上
深海さんのことは
考えるのをやめよう
なんて思ってたんだよな…


結局
やめることなんて
できなくなったんだけどさ


「結婚は?」


「してねえ、けど…」


けど?
え、今矢部さん
意味深な言い方したよな?


「なんだよ梶谷、狙ってんのか?」


「え、な、そんな訳
ないじゃないですか」


「だよなぁ(笑)あはは」


…うん、だよな

俺が狙ってるなんて
ちょっと言えないパターンだ

矢部さんの
『けど…』って言葉が
猛烈に引っかかったけど
矢部さんに変に思われるのも嫌で
とりあえずその日は
それ以上
深海さんの話を聞くのをやめた

でも俺は
深海さんのことを
頭の中から取り去ることは
できなかったんだ

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