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私の欠けているところ
第11章 時を捕まえたときにはもう…


「アイツのためか?」


「……」


「アイツに渡す金のため?」


時は
YESともNOとも言わず
口を閉ざした


参ったな…泣きたくなるよ

どうして
こんなに
嫌われたんだろ…俺


「時…

もう
アイツと別れろよ」


「陸…」


「こないだ話したこと
あれ、ほんとだから」


時は
ベットの上に
ペタンと座ったまま
俺から視線を外した


「時の話
全部聞いても
俺の気持ち
何も変わってないから」


「……」


「俺は
時が好きだ

アイツと別れて
俺と付き合って欲しい」


俺は
ギリギリまでベットに近づき
時の顔を覗きこんだ


「俺が
時を幸せにする」



そこまで言っても

時の表情は
固いままだった



「私…言ったよね…

ちょうどいいの

亮ちゃんとも

陸とも…


でも

陸とは
近く…なり過ぎたみたい



だから


もう


陸とは
会いたくない」


時は

一度も俺を見ないまま
そんな残酷なことを告げた



「俺が代わりになる」


「……」


「俺と会わないなら
俺がアイツになる
結婚してくれなんて言わない
けど俺は
アイツみたいに
時にひどいことはしない

時が満たされるなら
アイツ以上に
何度でも抱きしめる

それに…」



「……」




「時の心も満たすよ」


すると
時がやっと
俺に視線を合わせてくれた


「寂しくないように

時を
いつでも求める


いつか


昔の色んなこと
忘れるくらいに


時…」



「……」



「俺には時が
必要なんだ」



必要


その言葉で
時は落ちると思っていた


けど
その俺の考えは


甘かったんだ


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