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第11章 時を捕まえたときにはもう…

「陸に
亮ちゃんの代わりは
できないと思う…」



「そんなことない」



「それにもう…

亮ちゃんは
必要ないの」


「えっ…どう言う意味だよ」


思わず
俺は
時の腕を掴んでいた

アイツは必要ない
俺とも会わない

その意味がわからなくて
俺は時の腕を掴んで
時の身体を
自分の方に向けさせてしまっていた


すると時は
突然
いつものように
ふわっとした優しい笑顔で
俺の名前を呼んだ


「…陸」


「…ん？」


いや、違う
時の笑顔は
いつもの笑顔じゃない

俺を見ているようで
俺を見ていない

そのときの
時は
まるで別人のようだった


「私ね」


「…うん」



「もう
男の人と
セックスするのはやめたの」


えっ…

何言ってんだよ

なに急に
セックスとか言ってんだよ

今まで
そんな言葉
口にしたことなかったのに…


「時？
大丈夫か？」


心配になって
時の肩を少しゆすりながら
名前を呼ぶと

時は俺の目を見ながら
ニッコリと笑った


「大丈夫。
だから
亮ちゃんとも別れたし
陸とも会わない。
だから安心してね。
私は
もう大丈夫だから」