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私の欠けているところ
第11章 時を捕まえたときにはもう…

この数日
時に何があったかは
謎だ


でも確実に
目の前の時は
どうかしてる


痩せた身体

妙な笑顔

電車にも乗れそうもなく
人に迷惑をかけそうなのに
会社へ行きたがり

俺を突き飛ばす


そんなの
いつもの時じゃない


「時…」


俺はベットに上がり
笑顔の時を
ぎゅーっと抱きしめた


「時…大丈夫だから
俺は
どこにも行かないから
時…」


「梶谷くんっ…痛い」


抱きしめる力が
強かったのか
時はそう言いながら
俺の背中を叩いた


「あ…ご、ごめん」


手をゆるめて
時の顔を覗くと


「もう(笑)
私は大丈夫だよ?
どうしたの?」


と、時は俺に
作り笑顔を見せた


その笑顔を見て
俺は
一気に涙が込み上げ
溢れる涙を止める事が出来ず
壊れてしまった時を
もう一度抱きしめたんだ


「やだ…梶谷くんどうしたの?」


「…っなん、でもないっ…」


「泣いてるの?」


「ちがっ…」


「だめだな…梶谷くんは。
お腹空いてるの?
何か作ってあげようか?
食べないと元気でないよ。
泣いてたら
好きな男の子に
嫌われちゃうよ?」



その言葉で
俺はまた
涙が止まらなくなってしまった


俺の告白は
どこにいってしまったんだろう

時が好きだと言った
あの言葉は
どこへいってしまったんだろう


昨日までの時は


どこに行ってしまったんだろう…


梶谷じゃなくて
陸は
どこにいってしまったんだろう

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