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私の欠けているところ
第11章 時を捕まえたときにはもう…

時は
俺の涙が落ち着くまで
優しく俺の背中をさすり

何度も俺を
『梶谷くん』
と呼び続けた


それはまるで
俺と時が
仲良くなり始めた頃に
タイムスリップしたみたいだった


それからしばらくして
俺の涙が落ち着くと

時は何も無かったように
立ち上がり

玄関に置いていた
俺が買ってきた食料を
さも
自分が買ってきたように取り出し
テーブルに並べ始めた

そして

「こんなのしかないんだけど
食べてね」

なんて言うんだ



俺はもう
どうしていいか分からず

とりあえず

そんな時に
付き合ってみることにしたんだ


それが
芝居なのか
なんなのか
分からないまま


「美味しいね」

「あ、うん。美味いな」

昨日
お粥を少ししか
食べなかったのに
時も
一緒に食事をはじめると
俺と同じくらい
美味しそうに
目の前のものを平らげた


いっぱい食べてくれるのは
それはそれで
ホッとして嬉しかったんだけど
食後のコーヒーを
入れてくれてる途中で
時はトイレに駆け込み

そして

食べたものを全部
もどしてしまったようだった

急に
胃を働かせたせいだろう


「時、大丈夫?」

「うん、平気。
ちょっと食べ過ぎたみたい」

「薬は?
まだ飲んだないだろ?」

「薬?」

「ほら、貧血の」

「あー…でも今は元気だから」

え…どこが?

「今、もどしちゃったんだろ?
そーゆーときは
飲んだ方がいい。
ご飯食べてないのと同じなんだから」


「…そっか。うん、わかった」


よかった

とりあえず
薬を飲んでくれるだけでも
安心する


その時俺は

時に話を合わせることと
薬を飲ませることくらいしか
できなかったんだ
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