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私の欠けているところ
第11章 時を捕まえたときにはもう…

「一人で平気か?」


「え?」


「いやらしい意味で
言ってんじゃないから。
倒れたりすんなよ?」


「もう(笑)
大丈夫だって」


そうは言っても
心配で仕方ない

風呂場のドアは
閉められてしまったけど
俺は
そこから動かず
ずっと耳を澄ましていた

シャワーの音以外に
時の倒れる音が
聞こえたりしないかどうか

するとしばらくして
シャワーの音が止まると同時に
時の声が聞こえたんだ

「あっ…ガタッ」

えっ!

小さな声の後に
ガタッと
何かが倒れる音がして
俺はすぐ
バスタオルを手に
ドアノブに手をかけた

「時!大丈夫か?!
入るよ!」

「……」

時からの返事はない

時の中で
今の俺はもしかすると
キスもしていない
Siriかもしれない

でも
このままほっとけない

「ごめん!開けるよ!」

ドアを開けると
時は
顔を両手で覆ったまま
床にうずくまっていた

「と、時!大丈夫?!」

裸でうずくまる時に
バスタオルをかけると
時の小さな声が聞こえた

「…立ちくらみ…」

「どうすればいい?」

「横に…なりたい」

「わかった」

俺は
時をゆっくりと立たせ
風呂場から出ると
時を抱き上げ
ベットまで運び

バスタオルごと
時を静かに
ベットに寝かせた

すると時は
ごめんね
とか
ありがとう
じゃなく

「恥ずかしい…」

と、言いながら

タオルケットで身体を隠した


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