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私の欠けているところ
第14章 俺は時のなんなんだよって叫びたくなる
すると定時を少し過ぎた頃
時からLINEが届いた
『もうすぐ終わる。
駅で待ってるね』
え?
いやいや
ちょっと待てよ!
駅に行く前に
アイツが待ち伏せてたら
どうすんだよ!
俺は焦って
LINEを送りながら
総務に向かうために
エレベーターに乗りこんだ
『すぐ総務行くから
外に出ないで待ってろ!』
『それはダメ。
皆んなに見られる』
『そんなの
どーでもいいから
待ってろ!』
『駅で待ってる』
くっそ!
こんな時に限って
エレベーターは
各階に停止し
俺をイラつかせた
結局
時は総務で待ってないと
予想した俺は
総務をスルーして
一階のロビーへと移動した
そして
時を見つけたんだ
「深海さん!」
「……」
時は
俺の声に
気まずそうな顔で振り向いた
けど
返事をしないまま
また俺に背を向け
出口へと歩き出した
くそっ
俺を
シカトする気だな?
俺は急いで
時に駆け寄り
時の腕を掴んだ
「梶谷くん、離して」
「いやだ」
「お願いだから」
「俺は誰に見られてもいい。
今の俺を
矢部さんに見られたって
かまわない」
「良くないから」
「俺はいいんだって」
「……」
その言葉に
時は返事をせず
きゅっと口を噛んで
また歩き出した
多分
俺が時から離れないなら
とにかく早く
この場所から
離れようとしていたんだろう
なるべく
誰かに見られないように