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私の欠けているところ
第2章 『はじまり』に変わったのは

う、うそだろ!
こんなタイミングで深海さんに会えるなんて
…マジ運命


「びっくりしちゃった。
梶谷くん、お疲れ様」


深海さんは相変わらず
全てを包み込むような
優しい笑顔で
俺に小さく頭を下げた


「あ、はい、お疲れ様です。
てか深海さん…」


「忘れ物しちゃって(苦笑)」


「あ、そーなんですね。
あ、どうぞ降りて下さい」


深海さんは
俺が乗るのを待って
エレベーターの『開』ボタンを
押したままだった


「あ、うん。
じゃ、梶谷くんどうぞ」


「いや、えっと
深海さん心配なんで
待ってます」


「え?」


「いいからいいから」


俺はエレベーターに乗ることなく
深海さんの腕を
優しく引いて
深海さんをエレベーターの外に
連れ出した


「さっき用があって総務に行ったら
もう誰も居なかったんで
なんかあったらあれなんで
だから待ってますよ」


突然のことで
なんともしどろもどろで
カッコ悪かったと思う

けどそんな俺を見た深海さんは
ちょっと嬉しそうに笑った


「優しいね」

「あ、当たり前です」

「そんなことないよ。
なんかちょっと元気出た」

「え?」

「さっきね」

「はい」

「デートキャンセルになっちゃって
元気なかったの(苦笑)」
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