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私の欠けているところ
第1章 『再会』から

次に深海さんと会ったのは数日後
仕事が終わって
飲み会へと向かう途中ことだった


その日は部署の飲み会で
俺は出先から
居酒屋へ向かおうと
一人で歩いてた

その時
偶然現れたんだ

あの横顔の深海さんが。



数メートル前にたたずむ深海さんは
とある店舗の前で
店の中をじっと見つめているみたいだった


その横顔は
給湯室で見たそれとは違って
伏目がち

少し…元気がなくて
声を掛け辛い雰囲気だった


でも俺は
どうしても深海さんと話がしたくて
声をかけたんだっけ


「あの…深海さんですよね?」


「えっ?」


深海さんは
またあの日のように
驚いた顔で俺に振り向いてくれた


「こないだお茶入れてもらった…」


「あ、あ~…お疲れ様です」


こっちを向いてくれた
深海さんの目が
少し潤んでるように見えて
俺の胸がザワついたけど
深海さんは微笑みながら
俺に軽く頭を下げた


「あ、はい、お疲れ様です。
深海さん、帰り…ですか?」


まずは
俺を覚えててくれたことに
ホッしたけど
俺は
深海さんの
潤んでる目が気になって仕方なかった


「あ、うん。
もう帰るところ。
梶谷さんは?」


「えっ?!
俺の名前、知ってるんですか?」


不意打ちだった

まさか
俺の名前覚えてくれてるなんて…


「覚えてるよ。
研修したじゃない?」


「そ、そうだけど
数時間だったし
もう覚えてないだろーなって
思ってました」


「覚えてるよ、ちゃんと」


そう言って
笑った深海さんの目は

もう
潤んでなかった
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