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私の欠けているところ
第6章 苦しくて…苦しくて…
正直
俺はその時
時の気持ちを
何一つ理解することは
できなかった
言ってることは
分かる
けど
共感はできない
時の考えが
どうしてそうなってしまったのか
俺には
全く分からなかったんだ
でも
そこまで話してくれた
目の前の時の顔は
不安そのもので
俺が
次に何を話すのか
怖くて仕方ない感じだった
「大丈夫だよ。
叱らないし
時ちゃんを
好きなままだから」
「梶谷くっ…」
すると
時は静かに目を閉じて
涙を流した
「時ちゃんは
それで
幸せなの?」
「…ん…」
時の幸せって
なんなんだろう
「涙、俺が拭いていい?」
金を奪われ
身体を奪われ
それでも
アイツにそうされることを求める
時の幸せって
なんなんだろう
返事のない
時の涙を指で拭い
ひらひらとした
ワンピースの袖から出た
白い腕をさすりながら
俺には
何ができるだろうと
考えていた
「寒く…ない?」
「…うん」
「我慢すんなよ
鳥肌立ってるだろ」
「…うん」
「こっち来いよ」
俺は
時を立たせて
ソファに座らせ
エアコンの温度を上げると
寝室から自分のパーカーをもって
時のそばに戻った
「ごめんな
冷房効かせすぎた。
俺、酔って暑かったから」
そう言いながら
時にパーカーをかけ
俺は何度か
時の腕をさすった
本当は
違う意味で
熱くなってたんだけど