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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第19章  動き出す兄の動機
  


 怯え混乱する妹に質問返しをする。


「私たちは、〝なに〟・・・?」


 関係さえも自分が信じてきたモノでないかも知れない恐怖。もしもこの〝血の信頼〟が自分が思ってきたモノと全くの別物ならこの行為に兄が罪悪感を抱くことなど有り得ない。


「〝おにいちゃん〟、だよ・・・月良。」


 揺れる瞳を見つめて答えてやる。


「あなたっ、〝誰〟?放してっ、いやっ!いやあぁぁっ!!」


 見たこともない兄の表情に本能が警鐘を鳴らしている。放れなければ・・・


「おっと、急に悪い子だな。」


 暴れる妹が可愛らしい。腕を解放して身体をよけてやる。


「ほら、放してやったぞ。」


 身体が上手くなど動かないことは、判っていたが余興程度に楽しめると思い見物する。
 案の定虫のようにベッドの上で動くしか出来ていない。しかし必死に自分から遠ざかろうと動く度に吐き出した蜜が零れていた。


  
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