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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第32章  それは、新たな罠
  


「汰音は、孤児院育ちだ。私は、しがらみのない人間を傍に置きたくてね。
 彼は、優秀だし使える男だ。だから雇った。」


「奈音も同じですよ。生い立ちは、知りませんが優秀ですからね。」


「すぐには、人を信じない君が押しかけて来た初対面の人間をそんなことで雇ったと思えない。」


「事実ですから。信じてもらえなくっても仕方ないですね。
(あんたらに敵意を持っている奴と組んだ方が利点が多いんだよ。)」


 化かし合いは、慣れている。息子を手懐けきれずにこちらを突いているのは、判っていた。


「俺は、会長を困らせることはしてません。しているのは、社長ですよ。」


 痛いところを突いてみる。


「椥が、なんだって?」


「恵見を出所させたのは、社長でしょう?どんな権力<チカラ>を使ったのですかね。」


 これ以上下らない会話をしたくない。


  
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