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第5章 　禁断の果実

　　


　首から手を離されて激しく咳き込んだ。身体が揺れると拘束されている手首が縄が食い込んで痛む。


「ほら、どうして欲しいか言え。」


「（あぁ･･･選択肢は、ありませんね･･････私に。）」


　兄の瞳が狂気に満ちていた。口にしていいのも用意された言葉もひとつだけだった。


「･･･ください･･････」


「〝なにを〟？」


「私のナカにご主人さまの、下さい。」


　望んでは、イケない。しかしそれを兄の行為と言動が精神<ｺｺﾛ>をねじ曲げていく。用意されている言葉は、ひとつだけ。


「よしよし。素直におねだり出来たんだ、ご褒美をやらないとなぁ。
　前から、後ろから？」


「･･･後ろ、からお願いします。」


　行為を受け入れることは、出来ない。せめて顔を合わせないようにしたい。


「〝後ろから〟って、エッロ！まぁ、どっちでもいいんだけどな。」