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空洞
第2章 相田 樹(あいた いつき)
「いっ君、ごめんなさい。うるさくないかしら?」
「だ、大丈夫です。イヤホンしているので。」
樹は、平静を装った。

「そっか…良かった〜。私邪魔してたら、悪いかなと思って。
今、何の勉強してるの?」
夏美が近づいてきて、隣にかがみ込んだ。

「今、数学で…」
「どれどれ…」
夏美の身体から汗に混じって、ほのかな柑橘系の香りが漂う。
髪を耳にかけると、余計に白さが際立って感じた。

大人の女性を目の前にして、自分のぎこちなさを感じる。
二、三回会話を交わすと、残り香を残し、夏美はまた隣の部屋に戻っていった。
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