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金曜日
第18章 ユリアさんの告白
事は15年前にユリアさんがパパにスカウトされたことに始まる
その頃はまだ事務所もそこまで大きくはなく、社長のパパもマネージャー兼任でタレントに付いて同行することも少なくなく、街中のロケにも付いて回っていた。
ある日、原宿でタレントが流行りのショップを巡るロケをしていた。
マネージャーのパパは遠巻きに見守っていて、ふとすれ違う女の子に目が釘付けになったそう。
それが、ユリアさん。
お友達とショッピングに来ていて、声を掛けられ無理やり名刺を持たされたそう。
ユリアさんは家に帰ってから名刺を母親に渡し、母親が父親に渡し、父親の久坂社長が電話で確かめたのだが、その電話を受けたのもパパだった。
久坂さんの電話は意外なもので、内弁慶で人見知りのユリアさんに色々な経験をさせてみたいので是非とも願いしますというものだった。
では、説明に伺いに行きますというパパに、久坂社長はどんな所か見てみたいということで、事務所に来て貰う事になったそう。
そして、怪しくない事務所を確認して(笑)ユリアさんを預けることにしたそうだ。その時に自分は商事会社をしていて、社長であることも明かしたって。
それからのユリアさんは学園物のドラマには引っ張りだこ。二十歳を越えるときにはトレンディドラマには欠かせない女優になり、三十歳の今もまだまだ輝き続けている。
ユリアさんが話の途中で私に話し掛ける
「私ね、翔大がKMを創るって言ったときに、私もレディースのブランドを創りたかったの。でもね、レディースブランドって、メンズの倍はあるのよ、何かこう目を引く何かがなければ失敗するって思ってて、パパさんと、うちのパパに協力をして貰おうと思って、時間は掛かったけどこれで立ち上げられるのよ!」
って、なんのことやら?パパが話を続ける
久坂商事はもともと総合商社なので、届け出の業務形態にアパレルは含まれていたそう。ユリアさんがレディースを立ち上げるのは問題なかったが、女優をメインに仕事をしている為、経営を任せる訳にはいかない。
そこで、佐藤企画(あっ、うちのパパの事務所の名前ね)に業務提携をお願いして、久坂と佐藤で共同ブランドを立ち上げることになるみたい。
だから、ユリアさんが喜んでいたのだ。