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VERTEX
第10章 取らないで…

今日は試合数も少ないから早めに終わる予定にはなっている。
それでも興味がなければ退屈なだけの格闘イベント。
「そろそろ涼二君の試合じゃない?」
そう静香さんに言われて客席へと戻る。
これが終われば3日の休み。
涼ちゃんが近所だけど温泉に旅行へ行こうと約束をしてくれている。
湖が見える温泉…。
本物の富士山が見える絶景の露天風呂が売りの旅館がもう夏休みの終わりだから予約が取れたと涼ちゃんが言っていた。
だから絶対に負けるなと涼ちゃんには言って家から送り出した。
試合は後4回。
これが終われば後3回。
チャンピオンになったら結婚しようと言った涼ちゃんを思い出すと顔が熱くなる。
本当に負けたら浮気してやる。
馬鹿な事を考えながら涼ちゃんが勝つ事を祈る。
挑戦者の入場に涼ちゃんの入場…。
いつもと変わらない試合開始…。
いや…。
涼ちゃんが笑ってた。
試合の間中、ニヤニヤと笑っている。
相手が完全に涼ちゃんに遊ばれているような試合の運びになっている。
格の違いを涼ちゃんが見せつける。
「圧倒的ね。」
静香さんまでもが口を押さえて驚いている。
霧島さんに慣れている涼ちゃんにはこのクラスは余裕なんだと感じた。
アッサリと2RK.O.を決めて次のトーナメントに進出する涼ちゃんが居た。
その後は2試合ほど知らない選手の試合があり、霧島さんの試合。
霧島さんも今回は楽勝の姿勢を見せる。
「なんか毎回、緊張をしてるのが損した気分。」
「毎回、こんな試合なら余計な心配とかしなくていいのに。」
静香さんと2人で文句を言いながら裏方の打ち上げに向かった。
今回は私の許可はちゃんと取ってあると会長さんが言っていた。

