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第12章 課題…



シャワーを浴びて旅館を出る。


「死にそう…。」

「朝飯を食わねぇからだ。」

「涼ちゃん…、ご飯…。」

「はいはい、なんなりと姫様の言う通りに…。」


近くのカフェレストランに連れて行ってくれる。

ご飯を食べながら知りたい事を涼ちゃんに聞く。


「どうしても耐えられない時は?」

「バナナを牛乳で流し込む。」

「プロテインは使わないの?」

「余計な筋肉は付けない。付ければ身体が重くなって動けなくなる。」

「そうなの?」

「ある程度の体脂肪はスタミナの為に必要なんだ。パワーだけのファイターはスタミナ不足に悩む事になるだけなんだ。」

「だけど涼ちゃんもパワーファイターでしょ?」

「あの階級だからパワーファイターの扱いになってるけど、霧島さんの階級だと俺のパワーは全く足りない事になる。霧島さんくらいのパワーを付けるとなるともう一回り分の筋肉が必要だから、その分、霧島さんはギリギリの減量が必要になる。」


涼ちゃんの厳しい説明に色々と考えさせられる。

筋肉でパワーを付けすぎれば体重が増えてしまう。

減量をすれば体脂肪だけが落ちてスタミナを失くす事になる。

霧島さんは涼ちゃんよりもストイックな生活をしていると涼ちゃんが言う。

こういう知識はこの先の私には絶対に必要になる。


「細かい事を知りたいなら母さんに聞けばいい。」


涼ちゃんが穏やかな笑顔を向けて来る。

涼ちゃんのお母さんが涼ちゃんの身体を一番よくわかっている。

涼ちゃんを誰よりも知っていると思っていた。

実際は何もわかっていない自分に気付く事になる。


「涼ちゃんに必要な事は全部覚えるから…。」


涼ちゃんが私の頭を撫でて来る。


「理梨のやりたいようにすればいい。」


悔しいくらいに涼ちゃんが大人の男だと感じた。

子供のままの私は今から頑張らないと涼ちゃんに捨てられても文句は言えない。


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