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VERTEX
第12章 課題…

「毎年、この時期に慌ててボランティアの予約に来る子が居るから焦らなくとも大丈夫ですよ。」
嫌味なのかそれが事実なのかよくわからない事を優しく微笑むシスターが言う。
「すみません、出来るだけ早いスケジュールで予約をお願いします。」
遅れているくせに自己主張だけはちゃんとする。
しなければクリスマスの朝から教会でボランティアをする羽目になる。
「早い予定…。」
シスターがボランティアを必要とする教会のスケジュールを確認する。
お願いだからクリスマスだけは勘弁して下さい。
そう神に祈る。
ボランティアは2日間と決まっている。
「バザーが9月の終わりにあるの。その日程で土曜日と日曜日の2日間に行けるかしら?」
「やります。」
クリスマスさえ外せるのならなんでもいいと2つ返事で答えてしまう。
「北川さんもそれでいい?」
シスターが咲良ちゃんにも確認をする。
「はい。」
「なら、幸村さんと北川さんで教会の方へ予約を入れておきますね。」
予約は無事に取れた。
その後の学校生活は夏休みにあまりにも涼ちゃんにかまけ過ぎたと嘆く私が居た。
家に帰れば相変わらずの生活。
夕方になると涼ちゃんをジムに迎えに行く。
最近はずっと涼ちゃんが加藤さんとリングに上がっている姿を見る。
涼ちゃんが苦笑いをして加藤さんだけがボロボロになっている姿…。
同じクラスのファイターとは思えないほどの力の差を加藤さんに涼ちゃんが見せ付けている。
「もう…、1R…、お願いします…。」
加藤さんが肩で息をしながら涼ちゃんに頭を下げている。
涼ちゃんは会長さんの顔を見る。
「今日はもう上がれ…。」
会長さんが厳しい顔で加藤さんに言う。
涼ちゃんは黙ったままリングから降りて来た。

