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VERTEX
第12章 課題…

涼ちゃんの家でご飯を食べる涼ちゃんに聞いてみる。
「加藤さん…、VERTEXでやって行けると思う。」
私の質問に涼ちゃんが寂しく笑う。
「エキシビションでも多分、無理だと思う。もう5kg絞って階級を落とせばエキシビションでギリギリ戦えるかもしれないってレベルだ。」
加藤さんの身体には無駄な筋肉が多過ぎると涼ちゃんが言う。
もう24歳の加藤さんに減量も不可能に近いと思う。
1、2回ほど当て馬としてエキシビションマッチに出れたら終わってしまう人。
そんな人はVERTEXには山のように存在する。
「なんとかしてあげられないの?」
「それをするのは篠原さんや会長の役目で俺の役目じゃない。」
あくまでもジムのトレーナーは篠原さんや会長さんであり涼ちゃんはファイターだ。
ましてや加藤さんは他のジムの人だから涼ちゃんに出来る事はVERTEXで生き残るファイターの強さを加藤さんに見せ付けるだけになる。
同情は出来ない。
涼ちゃんだって気を抜けばVERTEX内で負けてしまう可能性がある。
「週末…、出掛けないか?」
涼ちゃんがデートに誘ってくれる。
この週末から3週間後には涼ちゃんはまたトーナメントの試合になるから休みが取れる最後の週末。
だけど…。
「ごめん、この週末は教会に行くから無理だよ。」
そう答える羽目になる。
「午前中で終わりだろ?迎えに行ってやる。」
ありがたい申し出だけど、そうは行かない。
「ダメなの…、保護者の送り迎えがバレたら課題の単位を取り消される規則だから…。」
お嬢様学校であるが由縁の規則。
ボランティアに親が車で送り迎えをする子が多発する為に送り迎えはボランティアの禁止条項にしっかりと盛り込まれている。

