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第2章 お迎え…



その打ち合わせの食事会で国崎さんが涼ちゃんとのツーショット写真を頼んだ。

写真を撮ったのは夜の8時くらい。

食事会が終わったのが10時…。

なのに彼女はわざわざツイッターで


「今夜は彼と楽しいお食事。」


と題してその写真を深夜にアップしたのだ。

朝にはもうその写真は拡散されてしまい、この騒ぎになっている。


「また嵌められたんだ…。」


そう言ってしょんぼりとする犬男の頭を慰めるように撫でてやる。

テレビ画面の中では


『ですから、彼とは良いお付き合いをしてるだけなんです。』


と弾んだ声で話す女が居た。

別に彼女は嘘は言ってはいない。

彼と楽しい食事…。

国崎さんには楽しかったのだろう。

彼とはいいお付き合い…。

仕事では間違いなくいいお付き合いをする関係であり、涼ちゃんが恋人だとかそんな話はしていない。

それでも涼ちゃんは傷つく男だ。

私が生まれる前から涼ちゃんの親とうちの親はお隣さん同士。

私が生まれてから涼ちゃんは私にべったりという男の子だった。

小さい頃から私は怖いもの知らずのお転婆で涼ちゃんは泣き虫で鈍臭い男の子。


「僕、理梨と結婚する。」


小学生の涼ちゃんが5歳の私にそう言った。

私の両親と涼ちゃんの両親は笑って見ているだけだった。

だけど私は


「嫌よ…、涼ちゃんみたいに泣き虫でカッコ悪い男の子となんか絶対に結婚しないもん。」


と涼ちゃんの人生初めてのプロポーズを無残に打ち砕くという仕打ちをした。

その日から涼ちゃんが変わった。

近所のシュートボクシングのジムに通い強くてカッコいい男を目指すと私に約束をした。

だから涼ちゃんは自分の意志と関係なく私に誤解を招く事態が起きると狼狽えてしまう。


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