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第15章 迷子…



篠原さんと胡桃さんが控え室から出て行った。

私だけが全く状況が見えなくて心細くなって来る。


「なんかあったのか?」


涼ちゃんが私を覗き込むようにして聞いて来る。

霧島さんの事とか胡桃さんの事を聞きたいと思う。

でも…、涼ちゃんは試合前で試合にだけ集中させてあげたいとも思ってしまう。


「なんとなく…、落ち着かなくて…、仕事の邪魔になるなら来ない方が良かった?」


涼ちゃんの顔が見れなくて俯いてしまう。

私の手を握ってその手に涼ちゃんがキスをする。


「理梨ならいつでも来て欲しいよ。」


私には甘いだけの涼ちゃんが居た。


「試合前は私が来たら邪魔になるよね?」

「ならないよ。」

「でも…。」


顔が上げられてキスをされる。


「理梨が心配する必要はない。」


涼ちゃんはいつものように笑っている。

その笑顔に突き放された気分になる。


「霧島さんが頂点を降りるかもしれないのに?」


今はそれを聞くべきじゃないのをわかってて聞いてしまった。


「誰に聞いた?」


一瞬で涼ちゃんが怖い顔をする。


「勇気君…、だからミケさんとか皆んなが次の頂点を狙ってるって…、涼ちゃんの対戦相手も涼ちゃんを頂点にしないつもりで戦うって…、それって本当なの?」


ただ自分の不安だけを涼ちゃんにぶつけてしまう。

試合前の涼ちゃんにしてはいけない事…。


「勇気には近づくな。余計な事も理梨が聞く必要はないし、理梨が心配とかしなくていい。」


涼ちゃんが厳しい顔をする。


「なんで?大体、さっきの人もなんであの人は私を知ってるの?私はあの人を知らないのに…。涼ちゃんには秘密が多過ぎるよ。」

「秘密とか理梨にはないよ…。」


私には涼ちゃんが必死なる。


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