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第15章 迷子…



それでも私の我儘が止まらない。


「だったらちゃんと説明してよ!霧島さんの事もさっきの人の事も!私にでもわかるようにちゃんと説明をしてよ!」


不安が限界だった私はヒステリックに涼ちゃんを責めていた。


「今日の試合が終わったら…、理梨が知りたい事は全部教えてやるから…。」


涼ちゃんが狼狽えているのを感じる。

試合前にとんでもない事をした自分がわかる。

涙が出た。

限界だと思った。

涼ちゃんがゆっくりと私の涙を拭ってくれる。


「理梨が泣く事はないから…。」


瞼にキスをして髪を撫でて私を落ち着かせようとしている。


「涼ちゃんが…、頂点になるの?」


頂点になれば…。

ますます涼ちゃんとの距離が開く気がする。

だから霧島さんは静香さんと結婚をした。

だから涼ちゃんは私にプロポーズをした。

今更、そんな状況が見えて来ると気持ちだけが焦ってしまう。


「俺は頂点じゃなくていい。ただ誰にも負けたくないだけなんだ…。」


無敗のチャンピオン…。

霧島さんが頂点を降りたら自動的に涼ちゃんが頂点になってしまう。

頂点が嫌なら負けるしかない。

負ける事だけは嫌だと涼ちゃんが言う。


「そろそろ、客席に戻れ…。話は夜に…。後は勇気やミケさん達、他の選手にはあまり近づくな。今は色々と大変な時期だから…。」


私の頭をポンポンと軽く叩いて涼ちゃんが控え室から私を出した。

通路には待ってるはずの勇気君が居ない。

客席はどっち?

早くも私の方向音痴が発症する。


「終わったか?」


勇気君が別の通路から顔を出す。


「居てくれたんだ。」


ホッとすると涙が溢れ出す。


「うわっ!?泣くな!俺がRYOJIさんに殺される!」


勇気君がアタフタとして私を別の通路に引き込んだ。


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