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VERTEX
第16章 受験生…



VERTEXはあくまでも霧島さんをレジェンド扱いにする予定だから、元々モデルなどの仕事をしていた霧島さんのタレント性は失われない。

いずれファイターとしての引退をしてもタレントやVERTEXのゲストとして仕事が出来るのならば、現在、妊娠中の静香さんには余計な心配をかけたくないというのが霧島さんの考えだった。


「もし…、涼ちゃんが霧島さんの立場なら…、やっぱり私には話さないつもり…?」

「俺は理梨には隠し事は出来ない。」

「でも、私が知らない事はいっぱいあるよね?」

「ないよ。」

「稲川さんが元カノって話は?」


涼ちゃんが微妙な顔をする。


「勇気か?いい加減な噂ばかり理梨に教えるって…、アイツはどういうつもりだよ。」

「その噂も説明が出来るの?」

「前に話をした『好きになるかは付き合ってみないとわからない。』って言った女が胡桃だよ。」

「つまり涼ちゃんの同級生?」

「つまり理梨の小、中学校の先輩だ。」

「私の?」

「理梨は覚えてないかもしれないけど…、胡桃とはずっと同じ学校だった。だから理梨の事は胡桃もそれなりに知ってんだよ。」


胡桃さんの両親は離婚している。

父親が現在スポーツ新聞の記者を東京でやっているからと胡桃さんは高校卒業と同時に東京に出た。

その父親のコネでVERTEXの専属記者になったらしい。


「だけど理梨…、VERTEXだって永久的な会社じゃない…。」


涼ちゃんが真面目な顔に変わっていく。


「今は格闘人気でテレビ放映があり、スポンサーが付いているからこそVERTEXは運営が成り立っているに過ぎないって事はわかってて欲しいんだ。」


VERTEXは永久じゃない。

人気が無くなれば、当然涼ちゃん達は解雇されて地方巡業のファイターに戻る。


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