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第16章 受験生…



「化け…物…。」


涼ちゃんの家の玄関でゼーゼーと肩で息をして私だけが倒れ込む。


「理梨…、体力が無さすぎ…。」


犬男が大袈裟に嘆く。

涼ちゃんをダンボール箱に詰め込んで捨ててやろうかと想像する。


「風呂…、済ませて来る。」


汗だくの涼ちゃんがお風呂へと消える。


「ご苦労様でした…。」


涼ちゃんのお母さんが私の為に冷たいジュースをくれるからそれを一気に飲み干した。


「理梨ちゃんまでもが涼二の無茶な練習に付き合う事ないのよ。理梨ちゃんだって本当は今の時期は受験で大変なんでしょ?」


涼ちゃんのお母さんまでが私の心配をしてくれる。

私が倒れたのは涼ちゃんのせいだと涼ちゃんは散々お母さんに叱られたらしい。


「大丈夫ですよ。受験は大した事ないですし、少しは私も体力を付けたいんです。それに涼ちゃんを1人でロードに行かせて事故とかがあったら、そっちの方が心配ですから…。」


私の言葉に涼ちゃんのお母さんが少しだけホッとした顔をする。


「理梨ちゃんが居ないとダメな子だから…。」


そう言ってお母さんが涼ちゃんのご飯を用意する。

最近は私も出来るだけ手伝うようにする。

涼ちゃんが食べるものを知りたいから…。

ごぼうなどを使った根菜のお味噌にキュウリやモヤシと鳥のササミ肉を胡麻ダレで和えたもの。

ごぼうを使った料理はよく噛む為に満腹感が出る上に豊富な食物繊維が代謝を促すからアスリートには万能食材なんだとお母さんから教わる。

味付けは塩分は少なめ…。

もの足りない時は酢のものに頼るのが良いらしい。

後はやはりフルーツ…。

バナナと牛乳は常備品だとお母さんが笑う。

そんな話をしているとお風呂上りの涼ちゃんが黙ったままご飯を食べる。


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