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VERTEX
第16章 受験生…



夜はとにかく食事の時間が早い。

食べたら、さっさと寝てしまう。


「食べて、すぐに寝たら良くないんじゃない?」

「さっさと寝ないと腹が減って寝れなくなる。寝不足の方が身体にはキツいんだ。」


クタクタなら眠れる。

今はジムに行かないから眠れない。

出来るだけ眠れるようにとイライラとかさせないように気を使ってあげる事も必要なんだと思う。

ご飯が終われば涼ちゃんの部屋に行く。

ベッドに入れば涼ちゃんがしがみついて来る。


「なあ、理梨?」

「んー?」

「試験はいつ?」

「来週…。」

「なら、その週末は行けるよな?」


どこにだと言いたい。

主語が抜けるのは涼ちゃんの悪い癖だ。


「東京でテレビの仕事?」

「いや…、名古屋でサイン会…。」


嘘っ!?

涼ちゃんを見た。

既にスースーと寝息を立てている。

もう起こすに起こせない。

てか、そういう話はもっと早く言いやがれ!

私の方がイライラとして家に帰る。


「ちゃんとご飯を食べなさい。試験中に貧血で倒れる訳にいかないでしょ。」


イライラとするから食欲のない私をお母さんが叱って来る。

ますますイライラとする。

冗談じゃないわよ!

無理矢理にお腹にご飯を詰め込むけれど消化してくれる気配はなく胸焼けだけが襲って来る。

それもこれも全部がサイン会という涼ちゃんの一言のせいだ。

去年のサイン会の事を思い出す。

去年の涼ちゃんはVERTEXでデビューしたばかりだった。

サイン会は全国5個所の主要都市で行われる。

北海道、東京、名古屋、大阪、福岡…。

VERTEXトップ5に入るファイターがサイン会をその地域に散らばって行うサイン会。


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