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VERTEX
第17章 間違ってる…



この状況は不味いとひたすら考える。

今のところ咲良ちゃんは私がファンの1人だと勘違いをしてくれている。

だから親切のつもりでスポンサーの食事会に参加しないかと言っているつもりだ。

まさか私がVERTEXの関係者だと、ここでバレる訳にはいかない。

うちの学校はバイト禁止…。

その為に私はVERTEXからのお給料は辞退している形を取っている。

VERTEXの立場はあくまでもボランティア。

ボランティアの場合は学校側も見逃してくれる。

慈愛の精神をモットーとする宗教学校ならではの考え方だ。


「えーっと…、私…、知り合いと来てて…、残念だけど咲良ちゃん…、またね…。」


ひとまずは咲良ちゃんから逃げる事を考える。

サイン会の会場ではファンの入場が始まっている。

和美さんの姿を探す。

近くを通ったスタッフの人に和美さんを呼んで貰う。

和美さんに咲良ちゃんの事情を説明した。


「Gグループの社長令嬢と同じ学校なの?」


和美さんが険しい顔をする。


「咲良ちゃんですよね。同じ学校です。」

「Gグループは来年、VERTEXとタイアップする予定なの。だから今回の一番スポンサーという扱いになるわ。霧島さんとRYOJIさんが同じ地元出身という事で個人スポンサーも申し出てくれている状況だけど…。」

「私の存在がバレると何かと不味いですよね。私も学校側にバレると困るんです。」

「わかったわ。RYOJIさんにはそれとなく伝えておくから理梨さんは控え室の方に居てくれる?」

「わかりました。」


下手に私がウロウロと出来ない以上は控え室に引き篭る方が無難だと判断をする。

去年よりもマシだけど去年よりも最悪じゃん。

サイン会を呪いたくなっていた。


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