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VERTEX
第17章 間違ってる…
控え室でサイン会が終わるのをイライラとしながら待つだけになる。
夕方になり、やっと涼ちゃん達が戻って来た。
「理梨!」
涼ちゃんが私に飛びつくようにして抱きしめて来る。
「食事会に出られないって…。」
「そう、学校の同級生がスポンサーさんに居るの。」
咲良ちゃんの事を涼ちゃんに説明をする。
「なら、理梨はどうするつもりですか?」
ミケが私を心配そうに見る。
「ルームサービスでご飯を食べる。」
この状況ではそれしかない。
「出来るだけ早く帰るから…。」
涼ちゃんが私の顔を撫で回す。
全国展開をされているファミレスの社長がVERTEXでNo.1のスポンサーになる。
涼ちゃんにはこの仕事に集中だけして欲しい。
「去年よりもマシだよ。ホテル内でご飯は食べられるんだから…。」
冗談っぽく笑って涼ちゃん達を送り出すと出来るだけ人には見られないようにしてホテルの自分の部屋に向かった。
6時からの食事会。
10時には終わって帰って来るはずだからとシャワーを浴びてルームサービスで食事を取る。
やっぱりサイン会にはついて来るべきじゃないとか考える。
ファンだって…。
涼ちゃんに私が付いていたら、きっといい気分はしないはず…。
静香さんはサイン会には付き添わない。
テレビ出演などの他の仕事でも時々しか付き添う事がない。
妊娠をした今は特に霧島さんの仕事に同行しなくなったと言う。
涼ちゃんは私を付き添わせ過ぎると思う。
それは私がまだ学生で涼ちゃんと一緒に居られる時間が限られるから…。
結婚をして一緒に暮らせば私は留守番をするだけの存在になる?
それはそれで嫌かもしれないと我儘な事を考えちゃう。