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VERTEX
第18章 2度とお断り…
私が好きなのは涼ちゃんだけだと言い切る自信が私にはない。
涼ちゃんを失くすのは嫌だけど、それは涼ちゃんが居る生活が当たり前になっているからかもしれない。
ミケが言うように私は涼ちゃん以外の人を見てしまう。
それは自然な事だとミケが言う。
涼ちゃんと居る時の私は無理をしている?
頭が混乱をするような気がした。
目にいっぱいの涙が溜まっていた。
私の身体を起こしたミケが私の頭を抱えて撫でる。
「泣かなくていいんです。理梨はまだ小さな女の子です。魔女に閉じ込められたお姫様は王子が来るまで待っているだけでいいんです。」
ミケが穏やかに話をする。
魔女は涼ちゃん?
それとも王子様が涼ちゃん?
混乱をして涙が溢れ続けた。
ミケにしがみつくようにして泣いていた。
ガチャリ…、と金属製の音がする。
ミケがその音を睨みつけた。
涙が止まり私の時間が止まったように感じた。
「理梨に何をした!?」
涼ちゃんが恐ろしい顔でミケを壁に叩きつける。
悲鳴を上げた気がする。
「何もしません。食事をさせただけです。」
ミケが顔を歪めて冷静に答えている。
「涼ちゃん!?止めて!」
全く動く事のない涼ちゃんの腕をミケから離そうと努力をした。
「ミケ!もう出てって!涼ちゃんもミケを離して!」
やっと時間が動き出す。
ゆっくりと涼ちゃんがミケから離れたのを確認する。
「ミケ!大丈夫!?」
「問題はありません。おやすみなさい。」
私の頭を軽く叩きミケが部屋から出て行った。
「どういうつもりだよ?」
低く呻くような声がする。
初めて私に涼ちゃんが怒りを見せている。
目をギラギラとさせて今から戦う相手のように私を睨みつける涼ちゃんが居た。