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第18章 2度とお断り…



お茶会の時間は私は控え室で隠れるだけ…。

お昼前の軽食が出されるお茶会ではファンの質問にファイターが答えたり、記念撮影をする時間が設けられている。

お昼にはそれを済ませて帰る事が出来る。

独りぼっちの控え室で今日が無事に終わる事だけを祈り続けてしまう。

宗教学校で勝手な時だけ祈るという変な癖が付いたと思う。

神なんか居るか居ないかわからない。

私は宗教とは無縁の両親から自分の目に見えるものだけを信じなさいと言われて育って来た。

涼ちゃんは私に見えるものだけをくれる。

そんな私が今、涼ちゃんにしてあげられる事を考え続けた。


「ごめんなさい、今日は新幹線の時間をずらす事になるわ。」


控え室に戻って来た和美さんが言う。

ミケは和美さんの為に気にしていない顔をする。


「事務所に電話を入れて来ます。」


黒田さんは苦笑いをしている。


「何かあったの?」


涼ちゃんに聞いてみる。


「お茶会は限定ファン50人だけだったけれど、ホテルの外で出待ちのファンが居て動かないらしい。」


涼ちゃんも苦笑いをして私の顔を撫でて来る。

お茶会が終わればファイター達が出て来る可能性を知っているファン達がホテルの入口と裏口に何人も待機している状況にスタッフの人達が対応中らしい。


「去年は…、こんな事なかったのに…。」

「今年はファンの感覚がちょっと違うみたいだ。」

「ファンの感覚?」


そう言えば、去年は霧島さんのファンばかりで如何にも格闘が好きな男の人ばかりが集まったサイン会だったイメージがある。


「今年は黒田さんとミケが居るから女性に参加しやすいサイン会を設定したのよ。」


和美さんが眉をへの字にして困った顔をした。


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