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VERTEX
第18章 2度とお断り…



格闘好きな男の人ばかりが集まるサイン会では女性ファンが参加しにくいかと、女性ファンが多い黒田さんとミケを同じ会場にする事にして女性が多めになるサイン会をVERTEXは企画した。

それが裏目に出たらしい…。

今回選ばれたファンの中にはアイドルの追っかけ感覚のファンが多かったらしく出待ちをするファンが出てしまった。

黒田LOVEの団扇を大事そうに抱えていたおばさん達の姿が頭に浮かんだ。

それを考えれば今回のサイン会では間違いなく格闘ファンではない人が多数参加していると思った。


「他の会場は無事に終われてるみたいね。」


他の会場の状況報告を聞きながら和美さんがため息をついた。

既に予定よりも2時間遅れているのに未だにこのホテルから私達は出られない。

ダミーとして無人のVERTEXワゴン車を新幹線の駅に向かわせたのに出待ちのファンの数は減るどころか増えているという報告が来てしまった。


「なんで…、増えてるの?」

「大阪に居たファンが合流してるみたい。」


モタモタとしている間にどんどんと閉じ込められている気分になる。


「和美…、ワゴン車を呼び戻して下さい。」


突然、笑いながらミケが言い出した。


「呼び戻してどうするつもり?」


和美さんは嫌な顔をする。


「僕が正面から乗るんですよ。ほとんどのファンがMr.RYOJIとMr.黒田のファンでしょ?ならば僕が正面から出ればファンは正面に集まって来る。簡単な計算です。」


そう言ったミケは平然としている。


「それは、ミケだけが危険になるわ。」

「全然、危険じゃありません。僕1人なら今ここに居るスタッフだけで対応が出来るはず。3人がまとまって出るよりも警護はやりやすいはずだ。理梨は普通に出られるのだから、Mr.RYOJI達は裏口から出ればいいだけだ。」


和美さんが悩み出す。


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