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第18章 2度とお断り…



新幹線の時間を考えればギリギリの時間だ。

夕方になれば新幹線の乗車客も増えてますます大変な状況になりかねない。

ミケがファンを引き付ければ新幹線までファンが群がる危険は避ける事が出来る。

和美さんがそう判断をした。


「裏口はタクシーを手配したから…。」


20人ほど居たスタッフさんは2、3人だけが裏口に周り残りの全てがホテルの入口に集まった。

裏口に居たファンも入口に動きが出たとばかりに移動を始めている。

和美さんはミケの方へと付いた。


「まずは幸村さんからタクシーに乗って下さい。」


私なら普通に裏口を出てタクシーに乗り込める。

私が先にタクシーに乗り込めば後は黒田さんと涼ちゃんが一気に乗り込む作戦だ。

タクシーまで20m程度…。


「注目を浴びないように普通に乗り込んで下さい。」


スタッフさんがそう言って私の背中を押す。

まだ数人のファンがウロウロとしている。

凡人のくせに緊張をしちゃう。

ギクシャクとロボットのようにして歩きながらタクシーへと乗り込んだ。


「ドアは開けたままにして、助手席の扉も開けて頂けますか?」


タクシーの奥の席に座りながら運転手さんにスタッフさんから言われた言葉を伝える。

運転手さんが優しく頷いて車の外へ出た。

運転手さんが助手席側のドアを開けるのが涼ちゃん達への合図になっている。

ホテルの裏口から黒田さんと涼ちゃんが飛び出した。

タクシーに乗り込んだ瞬間にファンに気付かれた。

ドアが閉まり運転手さんが慌てるようにして運転席へと乗り込んで来る。


「有名人って…、大変ですね。」


黒田さんに向かって、そう言いながら運転手さんはタクシーを発進させていた。


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