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第19章 欲しいのなら…



こんな状況も後3ヶ月もすれば終わってくれる。

短大での人間付き合いに関しては英文科だけは種類が違うと聞いている。

まずもって英文科は外部生が多い。

そして内部生でもガリ勉タイプの子ばかりが集まっている事で有名だ。

咲良ちゃん達は英文科だけは嫌だと言って他の学部を希望した。

私は英文科希望だから咲良ちゃん達とは必然的に離れる事が出来る。

ただし…、合格をすればの話…。

結果発表が近付くに連れて自分がピリピリとしているのがわかる。

だからこそ、咲良ちゃん達とは尚更に関わりを避けたいと思う。

これ以上は余計な話を学校ではしたくないと学校が終わり次第、バスに乗って家に帰る。


「ただいま…。」


玄関で靴を脱ぐ。


「理梨!ちょっと来て!」


お茶の間からお母さんの声がする。

また大福?

そう思いながらお茶の間へ向かい襖を開ける。


「おかえりなさい。」


その言葉に真っ白になる。


「アンタが帰って来るのを待ってて下さったのよ。」


大福にパクつきながらお母さんが言う。


「なっ…!?」


水面に顔を出す鯉のように口がパクパクとはするけれど、その口からはなかなか思うように言葉が出て来ないという不思議な体験を味わった。


「理梨も食べますか?」


ニコニコと笑顔を浮かべる金髪の猫が私に向けて大福が乗ったお皿を差し出した。

それはうちの大福だ!

そう叫びたいのに私の口からは


「ミケ!?」


という言葉がやっとの思いで吐き出される。


「はい、お久しぶりです。理梨の制服姿はキュートですね。」


好き勝手な事を言いミケは呑気に大福を食べている。

なんで…、ここに…、ミケ!?

はっきり言ってパニックだった。


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