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第19章 欲しいのなら…



「それは義務というやつですか?理梨は全てがMr.RYOJIのスケジュールの中でしか生きられないという存在なのですか?」

「そんな事はないよ。だって…、ジムには私も行きたいんだよ。」


ミケに答える自分に納得をする。

ジムに行きたいのは私の方だ。

学校の人間関係は嫌い。

だけどジムに行けば、そんな私を優しく受け入れてくれる人ばかりだ。

部外者なのに誰も私には嫌な顔をしない。

霧島さん…、篠原さん…、加藤さん…、会長さん…。

他のジム生の人も私には普通に話し掛けてくれる。

格闘という共通の話題で皆んなの話の中に私が入れる唯一の場所。

ミケだって勇気君だって涼ちゃんが居たからこそ、私が出会えた人ばかりだ。

その事をミケに話ながらジムに向かう。


「だから…、ミケ…、帰って…。涼ちゃんにこれ以上は嫌な思いとかさせたくないし、今は試合にだけ集中をして欲しい時期なの。わかるでしょ?」


ジムの手前でミケを説得する。

私は私の意思で涼ちゃんと居たいのだとミケに示す事が大切なんだと思っていた。


「理梨が言いたい事はわかりますよ。でもね…。」


そう言ったミケはジムに向かって歩き出す。


「ミケ!」

「僕は今日は仕事に来たのですよ。理梨とのデートはあくまでもついでなんです。」


ニヤリと笑うミケがジムの扉を開けていた。

仕事?

どういうつもり!?

ミケを止めようとしてもミケはスタスタとジムの中へと入ってしまう。


「ミカエル・T・アドハン…?」

「本物か!?」


奥で練習をしているジム生達がミケに気が付いた。

私はジムを見渡して涼ちゃんの姿を探してしまう。

ミケと鉢合わせるとまた涼ちゃんが怖くなるかもしれない…。

その恐怖だけは2度と味わいたくなかった。


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