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第19章 欲しいのなら…



会長さんが唸り声を上げた。


「だが…、霧島の問題がある。」


低く会長さんが呟くように言う。

他のジム生に霧島さんの事を知らせたくないからだ。

だけど傍若無人な猫は会長さんにお構い無し。


「Mr.霧島は年内で終わる人だ。下手をすれば年末で僕が倒す。だがMr.霧島に代わりMr.RYOJIが次の頂点だと言うのならばスパーリングパートナーは絶対に必要なはずだ。」


ミケの発言にジムがザワつく。


「しかし、階級がミケと涼二では違う。」

「Mr.RYOJIはその強さで頂点を目指す人だと聞きましたが?」


会長さんが唸り続ける中


「俺は構わないよ。生温いスパーよりもやり甲斐があるスパーの方が助かる。」


と涼ちゃんが言いながら私の肩を引き寄せる。


「涼ちゃん…、本気?」

「俺がミケさんに引けを取るとか思ってる?」


髪の中へ涼ちゃんの指先が入って来て私の耳の裏をゆっくりと撫で始める。

くすぐったくて首を竦めて涼ちゃんに甘えるように寄り添ってしまう。

わざと私は涼ちゃんのものだとミケに見せつけているんだと感じる。


「生温いのは僕もお断りです。ジムの方針として八百長でMr.RYOJIを頂点にするつもりなら、この移籍はなかった事にする。」


ミケが挑発的な目で涼ちゃんを睨む。


「ミケさんも頂点を狙うって事だろ?だけどミケさんじゃ霧島さんには勝てないよ。」


涼ちゃんはミケの挑発に余裕の顔を向けてから私の頭にキスを落とす。


「シャワーをして来る。」


私にはいつも通りだという態度を涼ちゃんは崩す事なくジムの2階へと立ち去った。


「移籍は来年の話だ。」


渋い顔のまま会長さんがミケに言う。


「OK.年内で東京からこっちに引越しますから、理梨、僕の部屋を探すのを手伝って下さいね。」


何故かミケが私に言う。


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