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第20章 親戚…



静香さんがほとんどジムに来ない理由が理解出来る。

ボロボロで帰って来る霧島さんの為に何も知らない顔をして笑顔で迎えようと思うのならばジムでの霧島さんを知らない方がいい。

涼ちゃんだって、ほとんど話さなくなった。

ジム用のタオルや着替えを詰めたバッグすら私が持つようにしてあげる。

涼ちゃんは嫌がるけど、このくらいしかしてあげられなくてバッグを受け取る瞬間に


「ありがとう…。」


と掠れた声で無理に笑う涼ちゃんに泣きそうになる。

止めていいよ…。

もうチャンピオンになんかならなくていいよ。

そう思うのに、その言葉が涼ちゃんを傷つけるような気がして怖くて言えないまま涼ちゃんと帰る。


「いつもありがとう…。」


涼ちゃんのお母さんが苦笑いをして私から涼ちゃんの荷物を受け取ってくれる。

涼ちゃんのお母さんも辛いのだと感じる。

自分の子供が殴られる姿なんか見たくないと言って涼ちゃんの試合を見た事がないお母さんだから…。

それでも涼ちゃんが進むと決めた道の為に食事などのサポートを黙ってやってくれている。

涼ちゃんは黙ったままお母さんのご飯を食べたら自分の部屋に行く。

涼ちゃんをベッドに入れる。

最近は5分とかからずに眠ってしまう。

それだけハードなトレーニングをやっている。


「理梨…。」

「ん?」

「明日…、迎えに行く…。」

「明日?」


涼ちゃんを見た。

もう寝息を立てている。

明日…。

クリスマスイブ…。

私は午前中が学校だ。

クリスマスのミサを受けて終業式という学校…。

まさか…、学校に迎えに来るって意味?

クリスマスイブを涼ちゃんとラブラブで過ごすとか期待はしていない。

年末の試合が終わってオフシーズンになったら私の好きな所に連れて行ってくれる約束になっている。


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