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第20章 親戚…



そのおばあちゃんだけは悲しませたくないと思うから私は本田家を受け入れる覚悟を決めていた。


「ばぁちゃんだけを連れ出せるならな。」


涼ちゃんが寂しく笑う。

きっと沙月さん達が無理矢理にでもついて来る。

それでも涼ちゃんと私はその親戚と戦う覚悟が必要になる。


「ファイターでしょ?情けない顔をしないの!」

「口じゃ、俺…、アイツらに勝てないもん…。」

「それでも私の為に戦いなさい!」

「理梨の為なら戦うよ。」


どんなに嫌いだと思っていても親戚からは逃げられない。

だから私と涼ちゃんは笑って沙月さん達とやり合うつもりを話合う。


「次はばぁちゃんの為に沙月達に勝つよ。」


やっと普通に笑ってくれる涼ちゃんに安心をする。

試合の前に無理をして婚約を決めた涼ちゃんだから、これ以上の心配事は起きて欲しくなかった。

涼ちゃんと我が家に戻ると本田家とは違って賑やかになっている。


「涼ちゃん!」


そう言って、真っ先に涼ちゃんに飛び付いたのは8歳の希(ほまれ)君。

うちのお父さんも実は弟である叔父さんが実家を継いでいる。

とはいえ…、本田家とは違って幸村家はサラリーマン。

単純に叔父さんはお父さんの10歳ほど年下だったからお父さんが結婚をして先に家を出ただけで跡を継ぐとかで揉めたりはない状況。

その叔父さんの子供、つまり私の従兄弟の希君は一番の涼ちゃんのファンである。


「おかえりー…、理梨ちゃん、おめでとうね。」


軽く挨拶をして来るのは叔父さんの奥さんで希君の母で私の叔母さんである温子(あつこ)さん。

叔父さんも若いし、当然、叔母さんも若いから我が家じゃ叔母さんと呼びにくくて温子さんと呼んでいる。


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