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第21章 負傷…



いつものように緊張などはなく、胸を張って涼ちゃんを応援出来る自分が居る。

それだけで1人だという不安はない。

真っ直ぐにリングを見つめていると次々に試合が始まっていた。

2つほど試合が行われる。

重量級の試合や女性ファイターの試合…。

3つ目の試合では会場の空気の流れが変わり、派手な歓声が沸き起こる。

ミケの入場…。

まだ入場だけなのにミケの人気が一気に上がったのだと感じる。

対戦相手の入場の時はここまでの盛り上がりは感じなかった。

前に勝った事のある選手だとミケは言っていた。

爽やかな笑顔を会場中に振りまくミケ。

しなやかな身体…。

日本人とは違う筋肉…。

霧島さんよりもリーチが長い。

アウトファイター?

初めて観るミケの試合…。

ゴングが鳴る。

スッ…

とミケの姿が消えたように見えた。

ズドンッ!

相手選手の側面から一瞬でボディーブローが相手の鳩尾へと叩き込まれたと思うと次の瞬間には顎が上がった相手の顔に綺麗なアッパーが入っている。

あの身長と体格でインファイター!?

しかもスピードが段違いに早いと思う。

1R…、K.O.…。

早々と決勝進出を決めたミケは汗一つかかずにリングを降りていく。

本気で頂点を狙っている圧倒的な強さをミケに見せ付けられた気分になる。

背中に冷たい汗が流れていた。

霧島さんなら大丈夫…。

そう思いたいのに手の震えが止まらない。

静香さん…。

震える手を押さえて静香さんの分も応援しなければと自分に何度も言い聞かせる。

次が霧島さんの試合…。

入場を見る限りは普通に見える。

それでも減量をした分、霧島さんが疲れているようにも見えて不安が消えない。


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