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VERTEX
第21章 負傷…
聞き慣れたテーマソング…。
涼ちゃんがプロになる時に2人で色々な曲を聞いて選んだ涼ちゃんのテーマソング…。
君の為になら何でもする
世界中を敵にして戦う事になっても
例えそれで打ちのめされたとしても
君の為なら戦える
君の魔法が続く限り…
そんな意味のロックを涼ちゃんが気に入って自分のテーマソングにしてしまった。
ロックなんか興味がないのに、この曲だけは何度も聞いて来たから口ずさめるほど覚えてる。
自信満々にニヤリと口の端を上げた涼ちゃんが観客席に向かって笑っている。
そうやって余裕を見せてカッコ付ける涼ちゃんが大嫌い。
本当は泣き虫で情けない男のくせに…。
今は私の涼ちゃんでなく、VERTEXのRYOJIだからと私の嫌いな男を睨みつける。
レフリーから簡単なルール説明を受けながら、対戦者も涼ちゃんもファイティングポーズを構えて戦いに備える。
カーンッ…
ゴングが鳴った瞬間に相手が涼ちゃんに突進をする。
両腕で完全にガードをした低い体制からの突進。
涼ちゃんは余裕で交わして相手に攻撃体制に入る。
次の瞬間、相手の手が涼ちゃんの脇から腰からお腹に向けて回された。
シュート(投げる)する気だと感じた涼ちゃんが相手を振り払うようにしてパンチを入れる。
お互いが妙な体制でもつれ合いながらリングに倒れ込む。
始めから対戦相手はそのつもりだったように涼ちゃんの背後に回り込もうとする。
正面からでは涼ちゃんに勝てないとわかっているから背後に回り込み絞め技に持ち込む作戦。
スピードの早い涼ちゃんは立ち技が得意な分、絞め技は試合でほとんど使わない。
それは絞め技が不得意なんだろうと予測して来る相手が多い。
絞め技に関しては涼ちゃんのパワーでは仕掛けると危険かもしれないから避けているだけで涼ちゃんは決して絞め技が不得意な訳じゃない。